FightAIDS@Home: 科学者以外による説明
AIDS は「Acquired Immune Deficiency Syndrome (後天性免疫不全症候群)」の頭文字です。AIDS は HIV (ヒト免疫不全ウィルス) というウィルスによって引き起こされます。 人体は HIV に感染すると、HIV と戦うと考えられる「抗体」という特殊な分子を作成することで、感染に対抗しようとします。
HIV に感染する、つまり HIV ポジティブになることは、AIDS を発症することと同じではありません。 多くの人々は HIV と共存しており、何年にもわたって病気になることがありません。 しかし、人体は HIV を根絶する抗体を生成することはできないため、HIV が続くにつれ、少しずつ免疫システムが破壊され、免疫システムの主要な細胞が感染し、機能が損なわれるか、場合によっては破壊されてしまいます。 最終的に、HIV 感染は免疫システムを徐々に衰えさせ、「免疫不全」をもたらします。免疫システムは、感染やがんを撃退する役割を果たせなくなった場合は「不全」であるとされます。 細胞性免疫不全症を持つ人は、結核などの非常にまれな感染を受けやすく、このような感染は体内に広がり、薬物耐性を持つ形に突然変異する可能性があります。
HIV は、複製が不完全に行われるため、変化し続け、感染を止めるのが困難です。 Scripps Research Institute などに属する科学者は、AIDS の発症を止める方法を見つけるために、HIV を集中的に研究しています。 FightAIDS@Home プロジェクトは、特に HIV-1 プロテアーゼをブロックすることによって、HIV のライフ・サイクルの主要段階を無効にできる薬を探しています。
HIV プロテアーゼのブロック
たんぱく質は、すべての生命の機能における基本的な要素です。 (Human Proteome Folding プロジェクトの説明に詳細があります。) たんぱく質は、アミノ酸と呼ばれる小さな分子の長い連鎖です。 酵素は、生化学的反応を促進する特別な種類のたんぱく質です。 プロテアーゼ (pro-tee-ace) は、アミノ酸の連鎖のある点でたんぱく質を切り離すことができる酵素です。 例えば、たんぱく質を含む食品を食べると、たんぱく分子は胃の中でプロテアーゼによって小さなアミノ酸分子に切り離されます。 その後人体は、それらのアミノ酸を使用して必要なたんぱく質を作ることができます。 生命体のすべてのたんぱく質のうちプロテアーゼが占める比率はごく少量ですが、生命過程が正しく機能する上で非常に重要です。
ただし、すべてのプロテアーゼが良い働きをするわけではありません。 HIV は、特殊なプロテアーゼ (HIV-1 プロテアーゼ) を作成して使用し、ウィルスのさまざまなたんぱく質を作ります。
ここで、リガンド (配位子) が重要な役割を果たします。 リガンドはたんぱく質のポケットに付着または「結合」する、細胞の外から来る小さな分子です。 このようなポケットは、レセプター (受容体) と呼ばれます。 レセプターに結合するリガンドは、錠に合う鍵のように考えることができます。 FightAIDS@Home プロジェクトは、HIV-1 プロテアーゼ・レセプターに結合させて、酵素としての機能をブロックすることができるリガンド (薬) を探しています。 このリガンドが見つかれば、ウィルスが人体に広がり、AIDS に発展するのを防ぐことができます。 HIV プロテアーゼをブロックする分子は「プロテアーゼ阻害剤」と呼ばれます。
あなたのコンピューターが、AutoDock というコンピューター・プログラムを使用して、HIV-1 プロテアーゼに対する数多くのリガンドの結合プロセス (ドッキング) のシミュレーションを行うのを支援します。 最も期待できるリガンドは、科学者によって詳しく調査され、HIV を制御し、最終的には AIDS の発症を防ぐための、より優れたプロテアーゼ阻害剤となります。
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